鍼灸施術と東洋医学
鍼灸施術とは
鍼灸(しんきゅう)施術とは、鍼や灸(きゅう)により身体に微細な刺激を与えて自然治癒力を高める、伝統的な医療技術です。
日本では、鍼施術を業として行うことができるのは医師、又は厚生労働大臣が認めた国家資格を持つ『鍼師』のみであり、灸施術を業として行うことができるのは同じく厚生労働大臣が認めた国家資格をもつ『灸師』のみです。
かっては経験則に基づく施術とされていましたが、近年では科学的なその効果についても科学的な検証が進んでいます。
科学的根拠と臨床試験
国内外で多くの臨床試験が行われており、鍼灸刺激が神経系や内分泌系に働きかけ、血行促進や鎮静効果(エンドルフィンの分泌など)をもたらすメカニズムが徐々に解明されています。
WHO(世界保健機関)による認定
WHOは鍼灸療法の有効性を認めており、肩こり・腰痛・関節炎といった運動器疾患だけでなく、頭痛、消化不良、月経痛、さらには自留津神経の乱れやストレスに起因する症状など、幅広い疾患に適応があると発表しています。また、鍼治療の標準手順書(WHO benchmarks for the practice of acupuncture)を発表し、鍼治療に対する刺鍼を示しています。
また、米国国立衛生研究所が鍼治療の安全性と有効性について情報収集と発信(Acupuncture: Effectiveness and Safety | NCCIH)を行うなど、鍼治療の有効性について世界的な認知もすすんでいます。
痛くない『鍼』
鍼施術では、ツボを刺激するために、非常に細い鍼を刺します。
鍼の先端が筋肉の深部までとどくため、手や機械ではとどかない奥深くへ刺激を与えることができます。
日本の鍼灸院で一般的に使われている鍼の太さは直径約0.16mm~0.24mmです。これに対して、点滴や採血などに使われる注射針の太さは直径約0.6mm~0.8mmです(ちなみに、蚊の口針の直径は約0.06mm程度といわれています。)。 断面積を比較すると注射針の10%未満ですので、皮膚に刺したときの抵抗が少なく、痛みはほとんど感じません。

ただし、ひどくこわばっている部位に鍼を刺すと、ズーンと響くような感じがある場合もあります。苦手な感覚があった場合はすぐにご相談ください。


身体を内側から温める『灸』

灸も鍼と同じくツボを刺激するために、もぐさを皮膚上において火をつけます。もぐさは『よもぎ』から作られており、このヨモギの精油成分が程よい熱さでじっくりと身体を温めてくれるのです。
よもぎにはシネオール、ツヨン、β‐カリオフィレン、カンファー、ボルネオールなどの爽やかな香りと薬理作用を持つ成分が含まれており、これらの成分がそれぞれ、又は相互に作用しあうことで心身に様々なメリットをもたらします。
灸には様々な手法、形態がありますが、『直接灸』と『間接灸』に大別できます。『直接灸』はその名前の通り、もぐさを皮膚の上に直接置きます。
『間接灸』はさらに『台座灸』と『隔物灸』に分けることができます。

直接灸
『台座灸』は適当な台座によってもぐさと皮膚の間に空洞を設けることによって、空気を介して熱を伝えます。火が直接皮膚に触れないことから安全に手軽に使うことができるのが特徴です。ご家庭でのセルフ灸でも気軽に使っていただけますし、当院の灸施術で主に用いているのもこのタイプです。
『隔物灸』は、もぐさと皮膚の間に生姜、味噌、ニンニク、琵琶の葉などを挟んで間接的に熱を伝えます。また、挟んだ生姜などに含まれる成分が身体に及ぼす効果なども期待できます。

